中舘裕樹

「最高の時間だったな!」って思ってもらいたいんです

「もともと運動できたんでしょう?」
そんなふうに聞かれることがあります。
でも、実は逆なんです。
小学生のころから高校まで、ずっと野球をしていました。
甲子園を目指していたこともありました。
けれど、高校に入って、すぐに思い知りました。
「届かないな」と。
プロの世界が、夢ではなく“現実として遠い”ことが、わかってしまったんです。
でも、そのころ出会った2人のトレーナーの存在が、それまでとは違う目の前を見せてくれました。
「誰かの夢を支える人になれるかもしれない」
そう思ったとき、自分の気持ちが静かに前を向いたのを覚えています。
その後は、いろんなことがありました。
高齢者施設での仕事も経験しましたし、「もっと学びたい」「もっと伝えたい」と思い、転職もしました。
でも、どこに行けば“本物”に出会えるのか、わからないままでした。
アームリングを見つけたときのことは、よく覚えています。
熱のこもった、長い長いホームページ。
読みながら、「ここだ」と思いました。
でも、最初は不合格。
悔しくて、3ヶ月後にもう一度挑戦して、ようやく、扉が開きました。
それからは、週1回のマンツーマンの座学。
現場では、先輩のサポートにまわり、学びと気づきの連続でした。
3年かけて、ようやく「お客様を任せてもらえるトレーナー」になれた気がします。
時が経つのは早いもので、今では指導歴が、10年を超えます。
ありがたいことに、いまは「あなたに会いたくて来ました」と言ってくれる方がいます。
悩みを話してくれる人もいれば、うれしかったことを報告してくれる人もいる。
“体を動かす場所”だったはずのジムが、“人と人がつながる場所”になっているような気がしています。
私は毎回のセッションで、「この1時間を実りの多い時間にしたい」と思っています。
体調、気分、最近のこと、その方に合った、その日のメニューを真剣に考えます。
そして、伝えたいのは、「ただ運動すれば、体が変わるわけではない」ということです。
私自身、かつて「頑張っているのに、うまくならない」経験をしてきました。
でも、体の使い方を理解できるようになってから、少しずつ、変わっていきました。
体だけじゃなく、気持ちも。
何かができるようになるって、不思議と、自信につながります。
その自信が、生活を前向きにしてくれたり、「もう一度、何かを始めてみよう」という気持ちをくれたりします。
そうやって、マラソンを始めた方、ゴルフに挑戦した方、年齢を重ねてからの“はじめて”に踏み出す方もいます。
トレーニングって、筋肉だけじゃなく、人生ごと、少しずつ動かしていくものなのかもしれません。
運動が苦手な人も、もう遅いかなと思っている人も、「自分には無理かも」と思っている人も、体の使い方を知ることで、ちゃんと変われます。
私自身がそうでした。
だからこそ、そう思う人にこそ、伝えたいと思っています。
体が変わると、日々の感じ方が変わってきます。
だから私は、「体が変わると、人生が変わる」と、本気で思っています。
その変化のきっかけを届けられたら、これ以上うれしいことはありません。

  • プロサポートジャパン認定
    パーソナルトレーナー