高校時代は、ただひたすら走っていました。
練習がきつい日も、風が強い日も。
でも、走ることが好きだったから、自然と体が動いていました。
けれど、ある時から、思うように走れなくなりました。
足首をひねったり、腰が痛くなったり。
続けていればよくなると思っていたけれど、そうはいかなくて。
「どうして?」と、何度も立ち止まる日が続きました。
体って、こんなにも繊細なんだな。
気合や根性ではどうにもならないことがあるんだな。
そう気づかされたのが、この頃だったと思います。
リハビリの中で出会ったのが、体幹のトレーニングでした。
はじめは地味で、「これでいいのかな」と思っていたけれど、少しずつフォームが安定していって、気がつくとタイムも伸びていました。
ちゃんと動けるようになることが、うれしかった。
それでも、痛みの原因がはっきりしなかった時期もありました。
病院をまわっても、「特に異常はありませんね」と言われるばかり。
それなら自分で探すしかないと思って、フォームを何度も見直しました。
そうしているうちに、ふと「これかもしれない」と思える瞬間があって、体が教えてくれるような感覚を、少しずつつかんでいきました。
そのとき思ったんです。
体のことは、案外、体がいちばん知っているのかもしれないって。
そんな経験を重ねていくうちに、今度は、自分が誰かのサポートをする側になっていました。
ランニングクラブで、ケガから復帰を目指す人。
「また走るのが楽しくなってきました」と話してくれる人。
その人の“できた”に寄り添えることが、いつの間にか、自分の喜びになっていました。
トレーナーという仕事は、やってみると本当に奥が深いです。
体のことはもちろんですが、人との関わり方や、続けることのむずかしさも、たくさん学ばせてもらいました。
でも、そんな中でふと聞ける言葉があります。
「痛みが、前より楽になった気がします」
「また走ってみたくなりました」
その一言が、いつも背中を押してくれます。
よし、またちゃんと向き合おうって。
私が大切にしているのは、「続けられること」。
がんばりすぎなくていい。
ちょっとずつでいい。
でも、自分の体と、ちゃんと向き合う時間を持ってほしい。
そんなふうに思っています。
体の動きに理由があるように、
変化にも、ちゃんと意味があります。
運動は、ただ汗をかくためのものじゃありません。
体が変わると、気持ちもすこし前向きになります。
私は、その瞬間を、これまで何度も見てきました。
これから出会うあなたへ。
「ちゃんと変われるんだな」と思える時間を、一緒につくっていけたら、うれしいです。
急がなくて、大丈夫です。
あなたのペースで大丈夫です。
その積み重ねが、きっと何かを変えてくれると思っています。
横井和広


走れなくなった日、気づいたことがある
- プロサポートジャパン認定
パーソナルトレーナー